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何も見えない
かつてはエンジニアを名乗っていました。

タオルを煮る

#自由研究

目次

タオルを煮ました。

ついに社会に耐えきれず狂ってしまったとか、鼻セレブを食べる話を思い出してタオル版をやってみたとかでもないです。

しっかり洗って乾かしたタオルを顔にボフってしたときに、たまにめちゃくちゃ汗臭い人が目の前にいる感覚になるじゃないですか。よくこれで絶望しています。

世間一般ではこの臭いを生乾き臭と呼ぶそうです。しっかり乾かしたのに「生乾き」って言われる意味がわからない。

原因究明をしたくなるのは筆者の性です。手元の検索エンジンに生乾き臭と打ち込んでEnterを押してみると求めてもいないのに生乾き臭の消し方を提案してくれます。いずれ消すことにはなるが、無慈悲に消す前にこいつのことを知りたい。

さまよっていると花王がこの臭いの原因について研究を行っていた様子を見つけました。2011年に日本微生物生態学会が公開しています。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10881756

これによると Moraxella osloensis という菌が作り出す4-メチル-3-ヘキセン酸という物質があの臭いの正体らしいです。

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201007032657339334

あいにく生物学にはさっぱりなのですが、物質を分解するよりもおそらくこの菌が物質を排出する前に仕留めることが出来ればこの勝負は楽に勝てるでしょう。相手は細菌ということで、増殖を抑制あるいは死滅するような温度が存在するはずなのでこれを調べていきます。

ありました。

https://www.phar.agu.ac.jp/lab/microbiol/Research.htm#:~:text=%E6%B4%97%E6%BF%AF%E7%89%A9%E7%94%9F%E4%B9%BE%E3%81%8D%E8%87%AD%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E8%8F%8CMoraxella%20osloensis%E3%81%AE%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6

愛知学院大学 薬学部 医療薬学科が「洗濯物生乾き臭原因菌Moraxella osloensisの制御に関する研究」として花王と共同で研究を行っていたようです。この記事によると「約60℃の温度に曝すことにより、水に懸濁状態の細菌では100%、布に付着した状態の細菌でも99%以上、殺菌できる」そうです。

役者は揃ったのでやっていきます。用意するものは以下です。

  • サーモス5点セットに含まれる1番でかい鍋
  • 残念な臭いのするタオル(x3)
  • 熱湯

ちなみに60℃の熱湯につけて秒で死滅するか弱い菌ではないので、だいたい12分程度は継続して加熱する必要があるそうです。めんどくせぇ。

60℃の温度を維持するのはかなり厳しいので鍋を火にかけっぱにして、沸騰しない程度に差し水して行います。また予想以上にタオルがボリューミーだったため、5点セットに付いてきた蓋で適当に落し蓋的なことをして個性を出してみました。この試みの最中、親指に軽度なやけどを負いました。

なお筆者がこのとき二日酔いであることや、洗濯物をたたみかつコーヒーを淹れるという多忙な状態であるため、冒頭のツイート以外の写真はありません。

boiling-towel


ぼんやりしていると30分経過していました。慌てて取り出して水気を絞ってそのまま洗濯機に放り込みます。

結果

臭いが吹っ飛びました。吹っ飛ばなかったらこの記事を書いていません。

かがくのちからってすげー!